長雨な10の詩 ten poems of long rain
天から墜ちる夢の残骸
深い雲の合間から垂らされた静の糸
沸き立つ音は透明なリズム
ひんやりと胸を打つ
雨に宿るは
あるいはなみだ
[雨宿り]
秋ですね。
こちらでは、雨が降っています。
知っていますか?秋に降る雨のことを「秋霖 」と呼ぶそうです。
昨日の古文の授業でならいました。
秋霖 。しゅうりん。
美しい、言葉ですよね。
あなたもそう思いませんか?
そちらはどうですか。そちらの暮らしには慣れましたか。
貴方がそちらへ行ってから早半年。
貴方を思い出さない日はないのですよ?
月を見る度に
いつも貴方のことを想う私がいるのです。
いづれ こちらとそちらを繋ぐ道が出来たら
真っ先に 貴方に会いに行きますね
その時は、少しはお相手して下さいね?
雨が止んで、雲の隙間から光が漏れてきました。
また 雨が降ったらお手紙を書きます。
それまでどうか息災で
あらあらかしこ。
(本当は、飛んで貴方に会いに行きたいと思う私がいるのですよ。)
「秋霖 」
あなたの声で
誘う雨音
弾ける雫が
誘うワルツ
踊りましょう
雨はまだやまない
[虹待雨 / 雨音はワルツの調べ]
大きく振りかぶって投げました。
なんの為に?勝つ為に
自分の為に みんなの為に
勝ちたい勝ちたい…投げました。
小降りの雨の中 ボールは飛んで
良い音たてて「ホームラン!」
どしゃぶりの雨の中
グショグショのユニフォーム
マメだらけの手
「くやしくなんかないさ」
独り言。
上を向けば雨が当たって
当たって 当たって…
……悔しい。
『頬を伝う雫』
君はとうに行ってしまったのに
残された幻があまりにも鮮やかだから
「あの七色の橋は、
道に迷った愛する者のために道標となるようにと
帰りを待つ人が織った布なんだよ」
鮮やかな君の声だけが残ってる
ここにいるよと
ここに、いるよと
君はとうに行ってしまったのに
[虹の向こう]