幸福なひととき10の詩 ten poems of happiness

「with / やっぱり此処が一番落ち着く」

ふかふかのかたまり
一式二十万の高級ファーベッド
洗いざらしのタオルケット
さわりと触れた古い時の残り香
通販で取り寄せ ゆったりソファー二人掛け

ゆあんと響いたあなたの(ノイズ)

煙草の移り香 マルボロライト
うっかりこぼしたココアのしみ
絡まったままのパズルリングが
離れたくない と優雅に微笑

眼を閉じて
君の隣




「おいしぃ」

しびれたような舌の上

転がして甘いアメ玉

吐息に触れて

移された君の体温

イチゴ味




「世界の中心で何を叫ぶ」

心臓の音
聞こえていますか?


此処こそが
世界の中心





「世界で一番あなたが好きよv」

テレビでやってる豪邸特集
すみからすみまでぴかぴかきらきら
値札を付ければ目が飛び出そう
羨ましい?

あなたにないもの、たくさんあるものね

雑誌に載ってる高級レストラン
舌がトロケル食材に
噛みそうなコース名 複雑な用語
あなたに言えて?

あなたにないもの、たくさいあるものね

ねえほら、 たまには無理に願いも言うけれど
触れた肩から伝わる体温
覚えてしまったこの部屋の香り

ねえほら、
すねないで

私が使えるとびきりの魔法
あなたにだけ効く特別の魔法

伝わってますか?




「嬉しい楽しい大好き!」

手から手へ渡された
安物の指輪
左手の薬指に託された
きらきら光るイミテーション

つついてみた頬
じゃれあって
笑う口元
祈るようにキス


そして一言

最高の時間




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