美食家の為に10の詩 ten poems for gourmet


食べてみせてよ
甘くとろけるこの想い
スパイスはちょっぴり刺激 秘密の蜜

しょっぱい涙は今はいらない
苦い思い出もお断り

あなたの愛だけで
甘く熟れてみせるから

愛してみてよ
ほらお口を開けて


「LOVE&EAT!」




角のナイフで切り分けて
硝子のフォークを突き刺して
鏡の間にて晩餐を
冷たい音を響かせて

恋と苦しみ盛り付けて
メインディッシュに貴方の心
虹色の美酒をなみなみと
天の神々に敬愛を

黄昏時に始めた宴
暁時まで笑いは絶えず
ドアから漏れる静寂を
祭戯の色に染めるまで

神をも羨むこの時を
この一瞬の悦びを



「硝子のフォークと角のナイフで 」




いつかを語った
あの鉄柵の向こうで

風が啼いた
鳥が鳴いた

僕らが泣いた

グラスに落ちた雫を掲げ
もう一度
天高く神に乾杯

「バッカスに敬意を込めて」




その唇を開けてこの実をお食べ

君に拒否権はないのだから

その白い喉に滑らせて

弾ける酸味が愉しいでしょう?

一粒、二粒、三粒、四粒

それだけでもう充分

この勝負は勝ったも同然

四つの月が巡る時

共に一緒にいられるならば

意図もなければ意思もない

ただ、一緒にいたいだけ

赤い絆が僕らを繋ぐ

赤い実弾けて僕らを結ぶ

ほら、この縁は解けない



「熟れた紅い果実を」





「女の子って何で出来てるか知ってる?」

知ってるよ、それぐらい
女の子ですから
『お菓子とスパイスと素敵な何もかも』
そうでしょ?

「その素敵な何もかもって具体的にはなんなんだろう」

うーん
きれいな宝石にアクセサリーかわいい服にふかふかのぬいぐるみ
愛らしい人形も素敵
それから、おいしい食事にかぐわしい紅茶
きれいな食器も色とりどりの花束も

「……また、随分現金な話だことで」

まだまだあるよ
冬の朝の澄んだ空気に春の花の香り
夏の日射しと水しぶきも秋の色に染まった並木道
道端の小さな花も明るい日射しも静かな雨音も雪の降る日も

「節操ないなあ。君にかかれば何でも素敵なものなのかい?」

そうでもないよ
だってどんなに素敵なものでも『とびっきり』にはかなわないんだもん

「とびっきり?」

そう
『とびっきり』がそばにあるだけで、私の世界は全部素敵になるの

「それは何?」

それはね、『恋心』ってものよ
あなたは持ってる?


『お砂糖、スパイス、素敵ななにか』



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