遠い国の十の詩 ten poems in far somewhere



こんにちは

耳馴れぬ言葉 微笑
褐色の肌と碧の瞳
樹海を閉じ込めたようだと隣で君

いくらですか

馴れない言葉 照れた顔
指差した紅い果実
夢の中の樹になっていそうだと胸の中

小さな硬貨を宝物のように両手で受け止め
花咲くように少女は笑う

ありがとう

紅い果実を抱きしめて
幸せそうに君

君が咲かせたこの胸の花は
いつか紅い果実を生むだろうか
いつか少女のように笑うだろうか


また来よう


馴染んだ言葉 微笑む二人


「物売りの少女」




たった一度の恋に生き
たった一度の恋に死に
それでも貴方が好きでした
そして私は幸せでした

海の底へ身を沈め
泡となって暮らします
いつかは天に昇る日を
一縷の望みと持ってして

七つの海を彷徨って
南の島へ着きました
さざめく波が歌います
一緒にあそぼと誘います

踊って歌って笑って生きて
私はとても幸せでした
その時天に光が差して
私を迎えてくれました

さざめく波にさよならを言い
私は天に昇ります
もう泣かないと決めたのに
涙がこぼれてやみません

七色の橋を乗り越えて
新たな世界へ行きました

私はとても幸せでした



「さざめく波と踊れ」




君が見た黄昏の幻
黄金色に染まる夕暮れに
迷い込んだ見知らぬ通り

さびしげな外灯に
煉瓦が生み出す悲しい陰影が
静かに君を呼んでいる

君が見た異国の白昼夢
ここではないどこかの影

今も君を呼んでいる
今も君は呼んでいる


「異人館通り」




落ちたら最後
もう二度と、這い上がれない。
それは牢獄
砂漠に蠢く狩人の罠
看守は私
囚人は、貴方
この砂の檻に囚われて
共に闇へと落ちましょう
もう、お日様も沈んだわ

それは、甘美なる地獄
いい子にしてれば大丈夫
誰も貴方を苛めない
砂の粒子に護られて
今宵も一人果てなさい

堕ちたら最期
もう二度と、赦されない。
それは終焉
砂漠に蠢く情念の渦
追うは貴方
追われるは、私。
この腕の檻に囚われて
共に闇へと身を窶す。

最期に瞳に映るのは
砂漠に浮かぶ赤い月



『砂漠に上る赤い月』




行こう
いつか 行こう

風が繰り返しささやく歌と
水面に映る鳥の影を連れて

行こう

君と手を繋いで
この足が千切れてしまうまで

いつか

空を裂くような雲が逝く
破かれた手紙が辿り着く
その果ての地平

いつか

君の手を離して
地に落ちた雨音を救って
海に溶けた君の涙を探して

行こう
いつか

あの太陽が知らぬ地の果て


「シレトコを目指して」



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