夜の散歩 written by Suika


銀河ステーションから乗り継いで、天の河のレールを走る
列車の中には僕、一人
さっきまでたくさんいたのに、いつの間にかいなくなってた
隣りの席に座っていた 友達はもう 遠い彼方
ずっと前に、僕のいられない駅で降りてしまった
今はなにをしてるのだろうか
僕達の一夜の旅を まだ君が覚えていてくれたら嬉しいけど
+++
『
ねえ、君、元気にしていますか。僕は元気にしています
この前、列車の中で彼に会いました。僕達の級友だった、彼です
君はよく彼等のグループに苛められて泣いてたけれど、彼は根は優しいのですよ
遠くから見た彼は あの河を見て泣いていました
背中を丸めて 肩を震わせ 必死に涙を堪える様が後ろ姿でもよく分かって
僕は思わず窓を開けて、彼の名を叫んでいました
弾けたように顔を上げた彼は、容貌こそ大人びたものになっていましたが確かに彼でした
その瞳に、僕の姿が一瞬ゆらめいたのを、確かに僕はこの眼で見ました
もっとも、僕の姿は相変わらず少年のものでしたけど
黄昏時の、瞬きの再会。そのまま列車は夜空のレールを走り、アンドロメダへ
君とまた会えなかったのは残念ですが、君の次に会いたかった彼に会えたのは幸いでした
次にそちらの近くへ通ったら、今度は君と父さんに会いたいです
でも君は、そして父さんは。果たして僕に会いたいでしょうか―
』
+++
もしあの時、彼の眼に僕を映させなかったら
彼は今頃、僕の隣りに座っていたかもしれない
だからあれで良かったんだと思う
彼の名を叫んで、良かった
あの日、
彼は眼を見開いて僕を見て
そして、僕の名を呟いた
僕すらも忘れかけてた 僕の名を
あの日、彼は泣いていたんだ
僕の名前を呟いて
僕が助けたのが彼で良かった
どうか幸せになっておくれ
みんなが僕に会いたいかは分からないけど
少なくとも、僕はみんなに会いたい
夜の狭間を散歩して
また、みんなに会いに行くよ
そしてまた、彼の名前を叫ぶから
そしたら どうかまた
僕の名前を呼んでおくれ
『夜の散歩』

私が小学2年生の夏だっただろうか。家族全員で、都内某地で行われた蛍狩りに行った。
日本庭園に数多の蛍を放ち、その光を楽しみながら夜を楽しむ、そんな催しだった。私は浴衣に団扇を持って、庭園の中を駆け回った。
ほーほー ほーたるこい
遠くから聴こえる風鈴の音に暑さも忘れ。葉に止まり淡い光を放つ生き物。私の地元でも彼等は時々見ることは出来たが、それはほんの僅かな数だ。こんなにたくさんの命の光を、私は今まで、見たことが無かった。
ほーほー ほーたるこい
帰り際、父は私に蛍を数匹買ってくれた。それがとても嬉しくて、私は姉と一緒に、蛍の入った虫かごを覗き込んでは笑い合った。
家に帰り、虫かごに霧吹きで水分を与え(「こうすると蛍はお腹を空かせないんだ」そう父は言った)一晩蛍を愛でて。翌日の夜、私たちは蛍を自然に帰した。
「かごの中にしまっていたら、蛍は長く生きられないんだ」父のその言葉に私は最初嫌々と抵抗したが、早くに父の言葉を理解した姉に諭され、渋々と理解した。
野に帰した蛍は暫く庭に茂る紫陽花の葉の上で光を放っていたが、やがてどこかへ行ってしまった。
そしてそのまま、蛍は私の前に現れることはなかった。
その後も蛍を見た機会は何度もあったし、蛍以上に素晴らしいものもたくさん見た。それは私に大変良い経験であった。
しかし私にとって、蛍を追いかけたあの一夜ほどに恋しい思い出はない。
あの夜からもう十数年も経つのに、私の心は未だに蛍を求めて、夜を彷徨っているのだろう。
その夜がどの夜で、その蛍がどんな光を放つ蛍なのか。
形は変われど、思いも変われど。私は一生、蛍を追い求める子どもでしかいられないのかもしれない。
ほーほー ほーたるこい
『
水歌の冷酷熱唱劇場
今月の課題曲『ハマナカさんが分からない』
作詞 ミヤマ水歌
作曲 ご想像のメロディーで
気が付いたら いつも諍いしてばかり
そしていつもこちらが折れる
諦めずに様々な意地悪ふっかけるけれど
すぐにあの眼に負ける(仔犬のような眼で見つめるなー!)
奴の心を捕らえる
萌えポイントでも分かればいいけど
何年一緒にいても奴の
好みがよく分からないよ
「少年愛」の言葉で急にヒートアップ
かと思えば好きな芸能人(男)は
いやにオジサマ率高い(松岡君も好きだよ!)
誰か船越さんとグッチ裕三の
魅力私に教えてよ!(松岡君だってもう××歳よ!)
だけどここで引くの悔しいから
僕は欠かさず奴のブログをチェックする
(あれー、これってネットストーカー?)
』
+++
「で、これはなんですか?」
「三月のお題に見せかけた、少し早めの四月馬鹿企画です。」
「『夜の散歩』はどこに?」
「この歌詞を考えた人間の脳内は、夜のように闇黒だと思いませんか?」
「却 下!」
浜中注)面白かったので掲載しました。