空け者の春葬 written by Nachika

散りゆく並木の中を
伸びる葬列
薄紅の花弁を
影がかき消してゆく

ごらん、あの棺はがらんどう

春の灯は零れた
何もかも失ってしまった?

ごらん、あの葬列は消えゆくさだめ

風の中に消えた
ひとひらの思いで
すべては春の陽の偽り

ピエロは泣いた
子どもは踊る
影ははためいて
花が燃える

すべては春の夜の溜息


あの葬列は
あの棺は


ごらん、残された者たちの空っぽの心を



「空け者の春葬」




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